宵物語
"まだ探偵ごっこを続ける気かい?"

直江津高校の後輩の日傘星雨がもたらした、小学生女児誘拐事件の『噂』。
大学一年生になった阿良々木暦は、
八九寺真宵、忍野忍、斧乃木余接とともに調査をはじめるが……!

これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!

『宵』闇に、光射すのが青春だ。
「講談社BOOK倶楽部」より



読みました。
いつもどおり感想など。

今回は「まよいスネイル」と「まよいスネイク」の2本立て。

「まよいスネイル」は、モンスターシーズン第1作にあたる前作「忍物語」に引き続きミステリチックなお話。やっぱり結物語で阿良々木くんが警察になるにあたって、モンスターシーズンはずっとこんな感じで続くのかな?モンスターシーズンがすべて大学生編になるのかはわかりませんが。

お話としては、今回は怪異絡みなので、何でもありというか読者側の推理もへったくれもない感じになってしまってます。

いまさらだけど、忍ちゃんのエナジードレイン便利すぎない?

ひたぎさんは完全にお話の緩衝材になってらっしゃる。

次回作以降で叶うなら、前作からせっかく登場した、阿良々木くんの大学の新しいお友達の命日子さんももうちょっと本格的に絡んできてほしいな。

物語終盤p.200からの八九寺神のまくし立てはすごくよかった。こういうストレートな優しさをこのシリーズで唯一できる八九寺さん一番おとな説。


「まよいスネイク」は撫子視点で、八九寺さんに神様を正式に引き継ぎの儀式を行うお話。「撫物語」で描いたものを立体化できる異能を手にして以来の、久々の本格登場。

今回のお話でも、その異能を遺憾なく発揮した模様。

その結果、影縫さんと臥煙さんのお眼鏡に適うことに。ここから撫子は漫画家と専門家の二束のわらじで歩んでいくんでしょうか。何だか夏目さんところの名取さんみたいになりそうですね。俳優と祓い士ならぬ漫画家と専門家。

最後に出てきた洗人迂路子のお話もいつか見られるのでしょうか?

そしてこのお話中に、斧乃木ちゃんの出生に際して専門家全員が"呪い"を受けていることが明らかに。その中でわかりやすいのが足に呪いを受けて地面を歩けなくなった影縫さんでした。

次回作は「余物語」。斧乃木ちゃんのお話のはずです。その"呪い"関係のお話になるのでしょうか。となれば、久々に忍野メメや貝木泥舟らも見られる?

最近は専門家組ではほとんど臥煙さんと影縫さんしか登場していないので、そうなれば嬉しいです。というか私は専門家組が好きなので、彼らメインのスピンオフも見たい・・・・・・


2話とも久々に(?)すっきり終わった感じがします。読後感も悪くなかったです。1話目は八九寺神に丸め込まれた感じもしますが。


忍物語

2017年8月10日 読書
“たまには縁もゆかりもない女子を助けてみるのも乙だろう”
直江津高校の女子生徒が、相次いで失踪する事件が発生した。
ミイラ化した状態で発見された少女達の首筋には、特徴的な傷痕があって――?
大学一年生になった阿良々木暦は、犯人を突き止めるべく走り出す!
〈物語〉シリーズモンスターシーズン、開幕!
「講談社BOOK倶楽部」より


読みました。

前作の結物語ですっとばされた、阿良々木くんの大学生編。
モンスターシーズン第1作目。

まず最初に描かれているスーサイドマスターの初イラストがかわいい。
オフシーズンでの、あせろらボナペティはかなり好きだったので、スーサイドマスターが再登場したことが素直に嬉しい。

警察官になるための伏線のためか、推理メイン。
オフシーズンで出番のなかった八九寺も出てきました。
けど八九寺とのギャグパートが少なめだったことは残念。
最後もいつの間にか退場してるし。

老倉さんとは険悪というか、ずぶずぶになってる。部屋の鍵持ってて、勝手に寝にいける関係。。。いいのだろうか。。。

戦場ヶ原さんの中の人斎藤千和さんがセカンドシーズンあたりによく言っていた、羽川さんの探偵スピンオフが見たいという発言がとうとう本人の発言として本編に登場してしまっているのはさすが。

最後あたりの推理部分に関しては突っ込みどころ満載すぎて、読みながら納得のいくものでは全然ないけど、とりあえずスルーしておいた。1つだけ書くと、読者目線だと、少なくともスーサイドマスターが最初の1人を適当に襲いそこで突然死したと自供した時点で、(スーサイドマスターと貼交の共倒れじゃなければ、)第001話を覚えていれば貼交さんしか候補がいなくなるのだけど、木石さんに無理やりミスリードさせようとされている感じがすごかった。

全体的に会話劇にキレがなく、忍も色々と釈然としないし、臥煙さんは今作で一番ギャグ担当をしてしまい且つ最後まで何もしないおかげで、専門家の元締めであり何でも知っている最強のおねーさん感が全然出ず、何だかがっかりおねーさんになってますし、気の利きすぎた暗号は最後まで不自然なままだし、オチも許されたのか許されてないのかよくわからず、貼交さんと木乃伊化した子たちがどうなったのかわからないし、スーサイドマスターに関しては巻末を見るとまだお話がありそうだから、わからないことを一先ず棚上げにするにしても、最近刊行された物語としては何やら一番不完全燃焼感がありました。

具体的にどことは覚えてないのですが、地の文もこれまでと雰囲気が違うようなところがあったように思います。
ひとまず次巻を待つしかないですかね。

ただ最後の一節だけは耳が痛いですね。私もいつまでモラトリアムの中にいるんでしょうか。。


狸の名門・下鴨家の矢三郎は、親譲りの無鉄砲で子狸の頃から顰蹙ばかり買っている。皆が恐れる天狗や人間にもちょっかいばかり。そんなある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎ“二代目”が英国より帰朝し、狸界は大困惑。人間の悪食集団「金曜倶楽部」は、恒例の狸鍋の具を探しているし、平和な日々はどこへやら…。矢三郎の「阿呆の血」が騒ぐ!


読みました。
アニメも見てました。
アニメ化にあたって、原作の時系列を少し変えていたようですね。

前作が家族愛中心のお話だとしたら、今作は恋愛模様中心といっていいのかな。

以下好きになったり気になった言葉やシーンをまとめながら振り返ります。
ネタバレにご注意を。

面白く生きるほかに何もすべきことはない。(p.8)
本作第1行目にして、前作の「面白きことは良きことなり」と通じる、シリーズ通して基調となっているお言葉。ある意味シリーズの全て。

第三章の矢三郎と天満屋の初邂逅シーンから。
「俺様にとっては森羅万象これエンターテインメントよ」(p.140)
天満屋さんの正体は結局幻術師というだけでよくわからなかったのですが、やはり上記の基調に沿った言葉だと思いました。矢三郎と近いというか狸の考え方に近いのかな。やってることは矢三郎とは大分異なるので、その本質は異なりそうですが。

「どうしてもやりあいたいっていうなら受けて立つぜ」「おじさん、そんなら遊んでおくれ」(p.140)
矢三郎のこのような、気の利いていて物腰の柔らかなやりとり本当に好きです。若干殺気立っている天満屋さんの言葉に遊んでおくれと返せるのはかっこいい。

もう少し時間が経ち、さらに弁天様が加わったところ。
「弁天様、ちょっとよろしいですか」~「ただいま帰りましたよ。面白くなるわね、矢三郎」(p.186-187)
弁天様と矢三郎のしっとりとしたやりとりも大好き。アニメでもとても綺麗なシーンでした。

アニメの話を少し混ぜると、OPEDは今作も素晴らしかったです。
milktubさんは矢三郎、fhánaさんは弁天様のエッセンスを絶妙に抽出されていて、OPは阿呆さ面白さが、EDは哀しさや不安定さが各々とても素敵でした。
「波風立ててね、うんと立ててね」(p.201)

「そんなものは燃やしてしまいたまえ。さっぱりするさ」(p.217)
矢三郎と矢四郎が二代目の引越祝いを持っていったときに、赤玉先生の汚部屋に対して言った台詞ですが、最終的には二代目本人の家が燃え、さっぱりすることになるとは。

「ふわふわしていればなんとでもなるわ。だってわたしたちは狸だもの。やわらかいだけが取り柄なのよ」(p.374)
海星が健気さの途方もない無駄遣いをしていたことの告白をし、矢三郎が海星と結ばれる決意を見せたところの、おばあちゃんの台詞。私は狸ではないけれど心に留め置きたい言葉です。物腰柔らかくふわふわと。
アニメでは最後のシーンになりました。そのおかげで、アニメと小説ではあと味が異なります。アニメでは順番が変わったため、この後の、海星が矢三郎と駆け落ちするという書置きをしたシーンが、アニメだと唐突に感じて少々違和感があるのですが、小説を読むとこのやり取りの後なので、矢三郎に気持ちを寄せる海星がかわいらしく感じられました。

「私はいつでも優しかったわ」(p.418)
弁天様の触れてはいけないほうのお怒りを買った矢三郎にむけての台詞。
矢三郎を食べてしまいたいといいながら(愛でもあるのですが)、ここまで何度も矢三郎の助けとなってきた弁天様。シリーズで一番怖い弁天様の台詞に感じました。結局この作品では、天狗の喧嘩はうやむやに終わった感じもあるので、次回作で弁天様が困っているようなことがあれば、全力で動く矢三郎が見れたら嬉しいです。

「我々は狸だ。笑うべきでないときなどない」(p.482)
夢に出てきた父、総一郎の台詞。やっぱり面白いことは良いことで、面白く生きるほかすることはなく、それ故に笑うべきでないときもないと。お疲れの現代人に足りないのはもしかして狸らしさなのかも?

「悔しかったら、強うなれ」(p.257、p.508)
2回ある赤玉先生のこの台詞。1度目は二代目に負けた弁天様に、2度目は全てが燃え、泣き崩れる二代目に向けて。同じ台詞で、同じように優しさと強さがある台詞ですが、込められている想いはイコールではなく面白いです。弁天には師弟愛、二代目には親子愛でしょうか。〆るところはきっちり〆る先生かっこいい。
「さっさと幸せになるがいい」(p.520)
同じく先生かっこいいところ。伊達に長い年月、下鴨家を見守り続けていない。赤玉先生はだらしなくて偉くて優しい。結婚したくなる。

「我々は友人になれるだろうか?」(p.525)
一連の出来事がひと段落し、矢三郎と二代目との会話シーン。アニメでは途中からカットされておりなかったシーンですが、とてもいいシーンなのでアニメでも見たかったなあ。この問いに矢三郎は無理な相談です、狸は天狗をいじめるものだからと答えるのですが、ここから同様に、ラストの弁天様との関係の結論になるのだと思います。

そしてラストシーン。アニメでは上述のとおり、矢三郎と海星のシーンがラストなのですが、小説では矢三郎と弁天様のやり取りがラストです。
弁天様の哀しさが頂点に達します。ここから次回作はどうなるのでしょう。恋の相手とはならなくとも、矢三郎が弁天様の心の支えとなり、弁天様の心が真に晴れやかになることを願いたいと思います。

以上でざっくりですが振り返り終わり。
今作も本当に面白かったです。
狸を見習って、面白く、笑って生きていけたらいいなと思います。
ケセラセラ。

結物語

2017年4月30日 読書
読みました。

阿良々木くんもとうとう23歳になりました。

風説課の面々も普通に怪異だったりしてそれも楽しいのですが、阿良々木くんが懐かしの面々と再会して思い出話に耽ったりだとか、近況を報告しあったり、その後どうなったとか、少し大人になった姿にちょっと戸惑ったりだとか、誰かに先を越されるだとか、将来を決めようとしていたりだとか、20代前半~30歳くらいの人がよく遭遇しそうなシチュエーションが多く、にやけてしまったりむず痒くなったり胸の奥が痛くなったりします。
物語シリーズ10年も続いているのでキャラクターが物語中でする昔話が、読者側からしても昔話になっているので、キャラクターと同じ目線で懐かしんでしまいます。読み始めて10年も経っていることにその後死にたくなりますが。

オフシーズンでは、その後のお話もちょこちょこありましたが、これが阿良々木くんの後日談としては一番それらしかったです。

軽く内容に触れると、まず羽川さん帰国エピソードについて。
キッチンでのむずむずするようなやり取りはとてもよかったです。
世の中に似てる人が3人いるとしても阿良々木くんに羽川さんを見間違えてほしくないので、ロマンチックなみとめさん説を信じたいです。じゃないと羽川さんがなんだか冷たい人っぽく映って嫌なので。あと最後の阿良々木くんの台詞はちょっと気障すぎるので却下です。

本巻全体としてのオチ、最後の戦場ヶ原さんとのやりとりは◎。結びとしてはとてもいい結びでした。

今回上記の羽川さんや戦場ヶ原さん以外にも色々と懐かしの面々(神原、扇、老倉、妹2人など)との交流もありましたが、名前しか出てきてない人(メメ、貝木、影縫、余接、臥煙、撫子、真宵など)も結構いたので、できたらこの人たちと阿良々木くんの楽しい会話もまたみたいなー。特に真宵ちゃん最後出てきてくれそうだったから阿良々木くん並にがっかりしちゃったので。

これで物語シリーズ、オフシーズン終了のようです。
しかし巻末には物語シリーズ、モンスターシーズン、忍物語の予告が。
続きますねえ。
「大人」になるため、挑まなければいけない謎。待望の〈古典部〉最新作!

累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)

時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇
「KADOKAWA」より


読みました。

古典部シリーズ最新作です。実に6年以上ぶりの新作です。
今作は短編6つが収録されています。

箱の中の欠落
鏡には映らない
連峰は晴れているか
わたしたちの伝説の一冊
長い休日
いまさら翼といわれても

の6つです。簡単にそれぞれの感想とまとめの感想を。以下ネタバレにご注意ください。

1.箱の中の欠落
 お話としては、生徒会選挙で票の数がおかしい、不正があった、どうやった?というお話です。まず明らかに犯人がいるお話なのですが、その犯人当てや動機当てをせず、どうやったかということだけを解き明かすというのが少し珍しく感じました。
 話の進行は、奉太郎と里志で行われます。ミステリー的な部分はおいておいて、この奉太郎と里志が夜に2人で散歩をしながら話を展開するのですが、その様子がとてもいい!そもそも私が古典部シリーズが好きなところはミステリー部分よりもメイン4人の個性や関係性が好きという部分が大きいので、ほとんどの話でそういうところに目がいってしまいます。この話の、奉太郎と里志も、相変わらずとても良い距離感で、近すぎず、離れすぎずで。喧嘩しあって認め合うというような若々しい男の友情もいいけれど、この2人のような、言わずともお互いの思考と領分を分かり合っていて、高校2年生にしては少し大人びても見えるけれど、クールでおしゃれな関係もかっこいい。この2人の会話ももっと聴きたい。

2.鏡には映らない
 こちらは奉太郎の中学生時代の卒業制作でのお話。語り部が摩耶花なのが少し新鮮です。
 何といってもこのお話で一番インパクトがあるのが、おそらくここまで古典部シリーズを読んできた人の9割が摩耶花と同じかそれ以上に驚いたであろう、奉太郎に中学時代彼女がいたという噂話。ただ実際ストーリー中明言はされていないので分かりませんが、彼女の話ぶりからすると付き合ってはいなさそう。いくつかよく分からなかったのが、彼女が奉太郎に会って話したら嫌いになると言ったこと、卒業制作がいつできるか尋ねられたときに奉太郎がアサミしだいだと言ったこと、それに対して突っ込まれたときに口をぱくぱくさせたこと、結局奉太郎が最初に一人で引き受けたときあてにした人は誰だったかなど。別の意味があると思って最後まで読んでもわからず、、最初と最後に顔を赤くしてたのは単純に恥ずかしいからではなく?やっぱりお付き合いしてたの?
 その他では、特別な事が起きたときに特別に張り切るのは、実は簡単なことだ。(p.75)。頭でなんとなく分かっていることを改まって文章にされるとそうだよねってすっきりする。そんな感じ。
 ・・・・・・さすがにちーちゃんの前で、折木の「彼女」の話は出せない。(p.91)。これ誰を気遣ったんでしょうね。素直に読めばえるを気遣ったように見えますが、そうなるとえるから奉太郎に多少なりとも気があるようなことを、少なくとも摩耶花はそう思ってることを認めることに。奉太郎を気遣ったのだとしたら?「彼女」を?そのうちの複数?えるか奉太郎が絡んでいるならどちらにせよにやにやできそうでした。
 あと摩耶花が里志と電話するシーンがあるのですが、初々しく女の子らしくしてる摩耶花がとてもかわいいです。

3.連峰は晴れているか
 このお話だけは、今回収録されたものの中で唯一すでにアニメ化されているので内容はわかっていました。
 コピー代は一枚十円だったろうと思い、財布から十円を渡す。千反田は何も言わずに受け取った。(p.130-131)ともすれば十円くらい別にいいと言ってしまいそうになるであろうところですが、何も言わずに受け取れるのはえるの人となりと2人の関係が見えたようでとても良かったです。
 最後のシーンでえるは奉太郎の「気をつける」といったことに対して、うまく言葉にできないのですが、簡単な言葉で表現しなかったことで感銘の大きさがうかがえますし、あまり自分のことを話したりしたがらない奉太郎の内面を少しうかがい知れたことへの嬉しさみたいなものも見えました。
 今作の奉えるのいちゃいちゃその1。

4.わたしたちの伝説の一冊
 4つ目の話は摩耶花の所属する漫研での話。3年生が引退していよいよギスギスが頂点に達し、内部分裂が始まってしまいます。その中で摩耶花が、何のために漫画が描きたいのか、将来どうしたいのかを考えます。語り部はまた摩耶花。
 まずびっくりするのが、冒頭にある奉太郎の読書感想文。その話題になったときこちらまで気になったところでちゃんと載せてくれたので摩耶花ナイス。読んでみたらやっぱり普通じゃなかった。こんな感想文書ける中学生そんなにいないし、こういうような見方を絶対にできない自分もいやになるほど。
 話の途中の摩耶花の立ち位置が痛々しくてちょっと辛い気持ちになります。でもまたしても里志とのやり取りがかわいい。里志が普段はデータベースは結論を出せないなどと嘯いているのに、摩耶花の困り事に対しては心底がんばって考えている姿がかわいすぎる。
 それにしても漫画家を目指すと決めた少女の話を最近別にも見たような。

5.長い休日
 今作奉えるいちゃいちゃエピソードその2。奉太郎の調子が珍しく良いばかりに、散歩に出かけた先(十文字かほさんの神社)で出会ったえると掃除のお手伝いをしながら、奉太郎のモットーである「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいいことなら手短に。」のルーツのお話。
 とりあえず色々とにやにやポイントがあるのですが、まずえるとかほさんと奉太郎で生き雛祭りのときの写真を見ているとき。かほさんがえるのひどい写真を奉太郎に見せようとしたときにそれはだめです!ととめるえる。かわいい。
 奉太郎が無意識に掃除しながら鼻歌を歌っていることをえるにご機嫌ですねと指摘され、動揺してるのにそうでもないと応え、口許に手を当てて二、三度肩を震わせて笑ってるの、二人ともかわいすぎる。
 そして最後の奉太郎のお姉さんの言葉。その誰かは誰なのかなー!
 3つ目のエピソードである連峰は晴れているかで最後に上手く言えなかったえるがありがとうございます、嬉しいですと。連峰は晴れているかと同様に奉太郎の内面に触れることができたことが嬉しかったのだと受け取りたいです。

6.いまさら翼といわれても
 最後に表題作です。内容は上にあるので省略。
 主に遠回りする雛で描かれたえるの育ってきた環境と将来の展望。それを受け入れ、将来がそうあるものだと思っていた矢先に、お前は自由だと言われたら。ここに詳しく書くことはできませんが、このお話が自分には一番重なるところがあり、色々考えたくなってしまうような話でした。最後どうなったのか、これから先えるはどのような道を歩むのか、まだまだ気になることを残してくださったお話でした。


 全体を通してみると、短編でどれも読みやすくはあれど内容はしっかりしていて終始楽しい作品でした。「青春は、やさしいだけじゃない。痛い、だけじゃない。ほろ苦い青春群劇―――。」というキャッチコピーがありましたが、表題作をはじめビターなお話も多かったです。2年生となり将来のことを考え始めた面々が1年生のころより少しずつ大人になっていく様子が瑞々しいです。丁寧な描写でアニメーション化されたときの映像で全て脳内再生されるので、ふたりの距離の概算とともに是非是非2期を作ってほしい!もちろん、原作もどんどん続きを読みたい!また6年も待てない!

 お話とあまり関係ないですが、6つの短編内で奉太郎、たくさん料理を披露しています。婿入り修行かなー?

撫物語

2017年1月18日 読書
読みました。

オフシーズンはここまで3人のお話で1冊だったけど、今回は撫子さんだけで1冊です。
久々に1つのお話で1冊だったので読む前はちょっと重たく感じましたが、読んでみるとそうでもないものですね。

努力に関するお話。撫子さんの物語の振り返りと、自分との約束をしたお話。
読んでいると耳が痛くなるような言葉もちらほら。
努力は美化されることも多いけれどデメリットもあるよと。
潰しが利くなんてことも書かれていたりしますが。
努力しないデメリットももちろん。
何でもメリットデメリットで分けることもよろしくない気もしますが、ひとつの見方として。

自分との約束なんてものすごく大仰で恐れ多く絶対に破れないものか、ものすごく安っぽくていつでも破れてしまうようなものかの両極端に振れ易いものな気がしますが、面と向かって、声に出してするのは前者っぽく、撫子さんの前に進むという努力宣言がまぶしくてたまりません。最後の部分だけは阿良々木くんの名前を出して欲しかったという気も少し。

最後の蛇足かどうかという問いは、こういうところで感想やらを毎度書いているような人向けの皮肉っぽくもある洒落の文ですかね。そんなこと考えてもないかもしれませんが。

ところで撫子さん、今回のお話で、絵に描いたものを立体化できるという、別のライトノベルが始まってしまいそうな完全なる異能を身に着けてしまっているのですが。あの専門家の方々でもそのような完全なる異能の力は、少なくとも物語上は使ってなかったのに。さすが元神様?まさかここにきて怪異以外での非日常設定が出てこようとは。

業物語

2017年1月17日 読書
読みました。

今回は忍と火憐と羽川さんの3人がメイン。


1つ目。忍、というかキスショットの出自とかその辺のお話。
個人的には3話の中で一番面白かった。

前々からちょこちょこ過去を明かしてきた忍さん。今刊収録のうつくし姫はファンブックかなにかに収録されてたんだっけ?そのうつくし姫からキスショットになるお話。
気になっていた部分でもあるのでどんどん読み進めていけました。

そしてオチ。このオチそんなに珍しいオチではないけど物語シリーズで遭遇すると思ってなかったからか、文章じゃなくて漫画やアニメーションとかで見かけることが多いからか分からないけど、びっくりしてしまいました。ヤラレタ。
何か叙述トリック的なものもあったらしいけど、そっちは読んでいるとき何となくひっかかってた程度で特に気づかなかったし、気づいてもフーンくらいなことだったからいいや。
忍を吸血鬼にした吸血鬼さんもご存命のようなので、またもう一つお話が書けそう。


2つ目。火憐さんの成長?物語。
終盤のじゃあ霧の中のあの人はいったい?的なやつ。濃霧もセットの現象かな?火憐さんの棘は結局抜けたのかな?愚物語の月火ちゃんのお話の中で斧乃木ちゃんが、まだ蜂の針が残ってる的なことを言ってたけど、あのお話の後に今回の話があったってことでいいのかな。何か滝行で普通に終わっちゃったから、もう一癖足りない印象。下山後の火憐ちゃんがどうなっているのか楽しみ。

3つ目。恋物語中、羽川さんがメメを探し回っている途中のお話。
メメとの会話があるだけで嬉しい。
ドラマツルギーさんが再登場したけど、微妙な立ち回りで終わってしまった。
オチは吸血鬼パワーより障り猫とか苛虎さんパワーのほうがすっきりしたかな。
何やら羽川さんのメメ捜索話はまだまだありそう。個人的にはセカンドシーズンのころの話をメメに打ち明けてるときのメメの反応が見たいけど、見れないんだろうなあ。



愚物語

2017年1月13日 読書
ずいぶん放置してたけど読みました。

内容は老倉育、神原駿河、阿良々木月火の3人にスポットを当てた3話。

ボリューム的には5:3:2くらい。

老倉さんの話は物語シリーズを期待して読むとちょっと期待とずれてるかもしれないです。
そもそも老倉さん元々怪異と関わってない人なので当たり前なのですが。
ファイナルシーズンのそだちリドルやそだちロストがやっぱり近いです。
ちょっと曲がった女子高生の転校先での奮闘記。

一人が楽だけど、一人が好きなんじゃない。(p.88)

同意。こういう人多そう。

あとはプリクラに興味持ったりスマホもらってうきうきしてるところは普通の女子高生っぽくてかわいかったです。


神原さんのお話は悪魔のパーツがもう一個と変な手紙が出てきちゃってどうしようというお話。
扇ちゃん(くん?)とがんばります。

時系列はもう男子高校生となった扇ちゃんですがやっぱりキャラクターはあの不気味な感じのままなんですね。。

終盤で駿河モンキーのときにあった台詞からの変化や成長が読み取れてよかったです。

――私は私にならないと。(p.226)


最後に月火ちゃんのお話。
メインで出てくるのはその他に斧乃木余接、千石撫子、八九寺真宵。

月火ちゃんのお話だけどほぼ斧乃木ちゃん視点で話が進みます。

斧乃木ちゃんが阿良々木家に監視役として月火の人形になり暮らしていたけど月火ちゃんにバレそうになりどうしましょうというお話。

千石さんはかなりお久しぶりの本編登場となりました。変わり始めているけど相変わらずかわいいようで何より。斧乃木ちゃんが他人のことをかわいいとか思うのがちょっと新鮮でした。

世の中甘くないことが、とても嬉しい(p.263)

千石さんからこんな言葉が出てくるなんて。

楽しくなければ努力なんてできない・・・(中略)・・・人生に適度な難度を求める。(p.267-268)

この本で一番強くメッセージ性が出ていた気がしました。西尾さんがこれを書いていたときに想い筆がのったのか。相変わらずこの後茶化して終わってますが。

私には人生厳しく辛いのでもうちょっと甘くて低難度にしてほしいです。


全体を通してみると前半の老倉さんの話が個人的には少々退屈で後半2つが物語シリーズの短編らしい短編なので後ろ2つが楽しかったです。セカンドシーズンからの1冊使って1つの物語というヘビーさもないので特に読みやすかったように感じました。
そしてまた後ろ2つの物語で気になる描写を残していたのでこれは後々に繋がるのかな?(神原さんの話で阿良々木くんと羽川さんがまたトラブってるという話があり、月火の話では千石から貝木が元気にしているかという質問を受けた際に余接が元気にしてるよと嘘をついたと書かれている点)

残ってるシリーズもなるべく早く読んでいきたいなあ。

有頂天家族

2016年10月11日 読書

登美彦氏史上、これまでになく毛深く、波乱万丈。(登美彦氏談)

「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー。
幻冬舎より



買ってからずいぶん時間が経ってしまったけど最近読了。

アニメでも十分に表現されていましたが、たぬき達の阿呆なやりとりと、心温まる家族の絆に心打たれます。

たぬき達とは対照的な悲哀溢れる人間の弁天様も魅力的です。

それを繋ぐ年老いた天狗の赤玉先生も。

森見さんの他作品からの偽電気ブラン等の設定が再び出てくるのも嬉しくなります。

「阿呆の血のしからしむるところ」
「面白きことは良きことなり!」

読後の幸福感が高く良く眠れました。

アニメ2期も決まったようで今から楽しみです。
年末に読み終わりました。

あとがきを書いた方の気持ちがわかりすぎてしまいました。
読んでいるだけで本の中にある世界に自分も迷い込めました。
夢の中にいるような気持ちと温かみをずっと感じながら読めました。
不思議で風情のある京都の町並みも、面白おかしい登場人物たちも、その周りで起こる奇々怪々な出来事も、全てが魅力に溢れどこか愛おしく感じます。
偽電気ブランを飲んだ心地はきっとこんな感じなんじゃないかと。
この本こそが偽電気ブランに違いない!
さくっと読み終わりました。

シリーズとしては前作で一応完結しているので、まあオマケ的な立ち位置のお話。

鏡の中の世界は逆の世界ではなく裏返しの世界。

やり残したこと、心残りだったこと、後悔、秘めた気持ち、そういったものの世界。

物語シリーズでは今まででも過去に行ったり、パラレルワールドに行ったり、地獄にも行ったり、ファンタジックなものは多くあったのですが、単純に受けた感想からいうと、今までのどれよりも異世界でファンタジーな感じを受けました。ゲームで裏世界的なものがあるゲームがあるけどそんな感じ。作中でも夢オチだなんだというくだりがありましたが、異世界よりも夢のなかの出来事を読んでいる感じでした。

幸せそうな育だったり大人八九寺の再登場だったり、本編では名前+αの情報くらいしかなかった遠江さんが出てきたり、人間だったころの忍がいたり、色々なことがやたらふわふわぼんやりした夢世界の夢心地。

扇ちゃんの説明はなんとなく分かるような分からないような感じだけど、言いたい根っこのところは伝わってきた。
心残りも後悔も普通なことだけど、やっぱりそれだけに縛られる訳にはいかないし、次に進まないといけない。別に忘れるものでもなく、残しておけばいいだけ。
最後に忍が全く出て来ず、ひたぎさんとの会話で〆たのは前回までそれこそ忍には結構な見せ場があったけどひたぎさん空気だったから最後くらいはということかしら。

本編よりあとがきに書かれてた何かをしている時は結局その他の全てはしていないときという言葉のほうが今の私にはキツかった。。。
ちょうど今別のことを始めたいと思ってたところだったから。。。
でもそれかなり気力も勇気もいるんだよなぁ。。。
やらずに後悔よりやって後悔のほうがいいのも分かるけど下手すると人生ぶち壊すレベルだからやっぱり怖い。
あー夢の中で暮らしたい。

終物語 (下)

2014年5月18日 読書
終わりました。

長く続いたこのシリーズも今回で完結です(まだ続・終物語が残ってはいますが)。

以下いつもどおりネタバレを含みますのでご注意くだしあ。



暦物語で謎の再登場を果たしていた八九寺真宵。
その真相は八九寺が生き返ったわけではなく、暦のほうが死んでいただけでした。
あんまり弱気なことばかり言っていると、嫌いになってしまいますよ――(p.123)
地獄に落ちてきた阿良々木くんに対して、阿良々木くんが後ろ向きなことばかりを言うので、さらにその後に続く八九寺らしい感動的な台詞で励ますというシーンですが、シリーズ通してヒロインの〆の台詞のかっこよさは八九寺が一番だった気がします。達観してるかっこよさというか、そのあたり生きてたら21歳くらいだからとか?もう死んでるからかもしれないですね。

その後、p.239あたりで恋人の定番イベント(?)の名前で呼び合うようになるシーンがありますが・・・何かもうこちらが恥ずかしくなって本なのに見てられないという気持ちになってしまいます。思えばこのシリーズ、最初の化物語-ひたぎクラブ内でメメが、名前なんてどうでもいいという戦場ヶ原さんに対し、名前は大事だよと語ってから、この最終巻のオチにいたるまで、『名前』をかなり大事に、軸にしてきたと思います。怪異に対して『名前で縛る』という言い方を何度も作中で使用されていますが、実際の人でも似たところはあると思います。身の回りの人たちと名前を考えてみると、その人にはその名前が良く似合っており、逆に言えばその名前通りに、縛られて成長したとも取れる気がします。キラキラネームとか名前にも流行とかあるみたいですが、子供の名前をつけるときは、自分たちがその子を『名前で縛る』という見方も少ししたほうがいいかもしれないです。

そして物語が終焉に向かい、明かされた忍野扇ちゃんの正体・・・
扇ちゃんの決め台詞、「私が知っているのではなく、あなたが知っているのですよ、阿良々木先輩」という言葉の真意がわかります。ああ、なるほどと。

さらにさらに、ついに待ちに待ったメメの再登場!その前の語りから、メメや貝木の台詞が引用されたりして、それだけでも嬉しくてたまらなかったのに、ついに再登場して。何でしょうこの心がほどけるような安心感。泣けるような安心感。
「まったく、阿良々木くんは元気がいいなあ、何かいいことでもあったのかい?」
はい、泣きました。
このシリーズ、(貝木と影縫さんは敵だったりもしましたが、)専門家4人が頼りになりすぎて。存在が大きく、その力も大きく、かっこよくて。その中でも最初から思い出深いメメは格別で。私のこのシリーズ一番好きなキャラクターは間違いなくメメですね。

そうして物語は終わりました。
ほぼオールキャストで、話もとても面白く、一気に読みきってしまいました。
物語シリーズでこの感覚は久しぶり。
まだ一応1冊残っていますが、心から満足でした。
楽しかったーーー!!!!!
だいぶ前に読んだ感想を今更。

ずいぶん長い間本屋さんに平積みされているのを眺めていて、面白いんだろうなー、読んでみたいなーっと思いつつ中々手が出せなかったんですが、読んでみたらやっぱり楽しかったです。

内気で物静かで恥ずかしがりやで黒髪ロングで物腰柔らかく本のこととなると嬉しそうに話してくれる・・・五浦さんじゃなくても幾人もの男性の心を鷲掴みにしそうな篠川栞子さん。それでいて頭のきれる推理シーンはとてもかっこよく描かれています。

本とともに紡がれてきたそこにある物語を、想像上なのに見ていたかのように紐解いていく・・・まさに安楽椅子探偵。

本屋で働きながら少しずつ広がる人間関係も魅力的でした。

最後にはいつも推理を聞いている側の五浦さんが篠川さんのウソを見破り、また自らの祖母の秘められた想いにも近づくところ、さらに篠川さんとのいじらしい仲直りは微笑ましかったです。

私も篠川さんほどではないですが、昔から本好きな人間の一人ではあるので、素敵な本と、素敵な人と、出合うことができたらいいなと思います。

終物語 中

2014年3月15日 読書
読みました。

今回は雑談少なめのシリアス大目でした。

そして前感想でそろそろ神原さんあたりに焦点を・・・って言ってたら、そのとおりになりました。

時系列的には鬼物語の後、猫物語(白)の前で、阿良々木くんが羽川さんの前にかっこよく登場する直前になります。

「初めての気持ちも、二番手の気持ちも」(p.244)

という神原さんの気持ちは痛々しく重たいです。。。するがモンキーの一連の流れが終わって、ずっと明るくお馬鹿なキャラ立ちをしていましたが、やっぱりこういう気持ちは今も持ってるんですね。。

そして忍ちゃんとは喧嘩してましたが、やっぱり考え方とかが違うんだなあ。どっちが正しいとか悪いとか結論のあるお話じゃないので。でも多分忍ちゃんみたいな考え方の人が多いんじゃないかなぁ。神原さんほど前向ける人も中々いないと思います。あそこまで人に言える勇気も私は持ち合わせていませんし。


「儂のほうこそ悪かった――生死郎」(p.312)
「会えて嬉しかった。もう会えないと思ってたから。だけどもう会わない――今の儂には、うぬより大事な者がおる。今しばらくは、そやつのための儂でいたい。」(p.312-313)


状況はさておき、台詞だけ見ると何とも素敵な告白に思います。
まあお話上、初代怪異殺しこと生死郎さんは別にここでわざわざ復活させなくても終わりに向かえると思ったのですが、このことは終焉を迎えるのに必要なのかと考えると若干疑問ですが、いつもどおり趣味で書かれてる本ですし、元々傾、鬼に続くお話の予定だったみたいなので、必要不必要だとかはあまり考えないほうがいいのかな?関係あるとすると、やぱり心渡り、夢渡り関連になるのでしょうか。暦物語でよくわからない復活を遂げた真宵ちゃんの話や行方不明の影縫さん、あるいはメメ・・・?

さて残りは一応2冊の予定ですが、全員がどのような終わりを迎えるのか気になってきました。

終物語 (上)

2014年1月26日 読書
なにやら来週中巻が出るらしいですし感想書いてなかったしちょっとだけ。

まあ余談だよね。
扇ちゃんの不気味さが増しただけ。
話もオチも別段珍しかったり驚くものじゃないし。
扇ちゃんを不気味にするためだけに新キャラ出す必要あんまりなかったような。
扇ちゃんについては色々勘繰りたくなるけどまあ近々語られるでしょうしあまり考えず待ちましょう。
それより最近出番の少ない神原さん辺りと絡ませて掘り下げてほしかった気がする。

終わり方は結構好きなタイプの終わり方。
この先ちゃんと語られることがあってもなくてもこんな感じに終わるの好き。

何というか特にこれといった感想の浮かぶお話ではなかったのでこれくらいかな。

そういえばアニメのセカンドシーズンも概ね好評で終わったみたいで。
花物語も今年やるらしいですね。

だから、まあ、ね、何といいますか、

傷はよ

凍りのくじら

2013年9月2日 読書
8月時間がなかなかとれなくてやっと読み終わりました。


藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。(講談社文庫)


SF(すこし不思議)。藤子・F・不二雄さんの有名な言葉。
スコシ・ナントカ。人の個性をそんな風に考える遊び。
少し・フリー。少し・憤慨。少し・不完全。少し・不幸。少し・不自由。少し・フラット。少し・腐敗。
そして私は、「少し・不在」。

お話全体はいいと思うんだけど、ちょっと冗長?最後ゆうやクンもあんまりぺらぺらしゃべらなかったほうが個人的にはよかったかな。あと登場人物多い割りに結構ほったらかし。なんか文句みたいなこと言ってるけど面白かったですよ。オチは「少し不思議」って受け取っておけばいいのかな?ただ若尾だけは本当にムリ!
ドラえもんよくみたなー。好きな大長編とかでよく話題になるよね。南海大冒険くらいまではたぶん全部見たことあるなー。懐中電灯でスモールライトーとかビッグライトーはきっと誰でもやる!
36歳になったとき、なにしてるんだろう。やりたいこと多すぎて何してるのか想像できないけど幸せだといいな。

私はスコシ・なんでしょうね。


暦物語

2013年7月15日 読書
やっと読み終わりました。

本の流れは、阿良々木くんの一年を追って、出会ってきた人たちとのサブエピソードが描かれた短編集。それぞれの「道」についての考え方からお話がスタートします。

前半は特に意味があんまりない。
後半、扇ちゃんのお話あたりからちょっとこれから先に影響してきそうな感じ。
特に最後、影縫さんが消え、臥煙さんが現れ、阿良々木くんが切り刻まれたと思ったら、なんともなくて何故か「くらやみ」に消された八九寺が復活・・・?

八九寺が再登場してくれたことは泣くほど嬉しいけど、どういうこと?っていう戸惑いのほうが大きいです。んー?
何となく予想というか予感というか、思うところはいくつかありますが、取りあえず続編を楽しみに待ちましょう。


以下いつもどおりいくつか心に止まった言葉を抜粋。

八九寺ちゃんのお話から。

「立ち止まることです。」
止まったらそこは道ではなくなるのです。
(p.92)

それをやった瞬間に道が道でなくなるタブー。
さすが迷えるカタツムリ。ロリかっけー!

撫子のお話の貝木の言葉。
「『なんでこんなものがはやっているんだ?』『はやったんだ?』というようなカオス状態を論じたいのならば、カオスの前の空白をこそ論じるべきなのだ」
「空白―」
「くらやみ、といってもいいがね。だから忠告してやろう、もしも『わけのわからないもの』がはやったときは―時代を疑え。己の足場を疑え。何かがヤバいんだと思え―危機的状況なんだと思え。人が仕掛けているにしろ、自然に発生したにしろ―それは、時代がくらやみに包まれているということなのだから」
(p.202)

貝木さんのいうことは何でかかっこいいね。何でかなるほど確かにって思ってしまうね。
私も騙されているんでしょうか?
くらやみ、っていうのは物語シリーズでは八九寺を消し去ったあのくらやみを連想させるのでやっぱりまだあれが関係してくるんでしょう。「暗闇」ではなく「くらやみ」なので。

忍ちゃんのお話で羽川との会話。

「だから―自分の利益や目的を放棄すること。個人的判断を持ち込まないこと。言い換えれば、捨て身であること、無私であること。それがポイントだって、忍ちゃんは教えてくれたんだよ」
「・・・・・・ポイントって、交渉の?隠し事の?」
「愛情の」
(p.342)

しのぶうううううう!いじらしい!かわいいなぁ!いい子だなぁ!あららぎくん大好きなんだなぁ!


まぁこれくらいにして、次の終物語を待ちつつ、アニメの物語シリーズセカンドシーズンを楽しみましょう。
猫物語(白)!個人的にはセカンドシーズンで一番好きな本でした。はやく全部みたい!
この間某所でセカンドシーズンは誰でも救いたい阿良々木くんが誰も救えなかった話というのを見てなるほどと思いました。誰も救えない阿良々木くんをしかと見届けたいと思います。
2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1672ページ
ナイス数:146ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/251565/matome?invite_id=251565

■真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)
ブランジェリークレバヤシというパン屋は深夜営業のパン屋さん。お店で働くのは、ゆるーい関西弁をしゃべるほんわか系イケメンの暮林陽介とはっきりした顔立ちのイケメンオブイケメン柳弘基。そこに集まるのは深夜営業のせいかちょっと変わった人たち。 それぞれのエピソードで心があったまります。それぞれで自分に足りないもの、忘れているもの、大切なものを思い出させてくれます。パンみたいにほっこりホカホカ。ほんのり甘い。種類はたくさん。色んな味が楽しめる。こだまと織絵ちゃん親子のお話と暮林と弘基の関係のお話が私のお気に入り。
読了日:6月26日 著者:大沼 紀子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29893369

■流星ワゴン (講談社文庫)
もしも過去をやり直せるなら。+親子や家族といったものがテーマ。 よくあるテーマかもしれませんが、永遠のテーマでもあるのでしょう。 鬱病などが社会現象のようにあふれ返っている昨今。主人公と似たような気持ちを持っている方も多いと思います。主人公に自分を投影して、自分が過去をやり直しているような気持ちで読むと、自分も変われる・変えられるような気がしてきます。今苦しい人へ、是非。
読了日:6月16日 著者:重松 清
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29640911

■リセット (新潮文庫)
最近あまり見られない奥ゆかしく、慎ましやかな恋愛。何ともロマンチックです。最初のきっかけは33年に一度訪れるというしし座流星群。 二人のスタート地点であり、ゴールでもあり、巡り会わせてくれた不思議な力も星の力なんでしょうか。 私も見ました。2001年のしし座流星群。家族と一緒に。時間と星と人。 皆様にも素敵な巡り会わせが訪れますように・・・。
読了日:6月16日 著者:北村 薫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29622681

■ターン (新潮文庫)
世界が自分ひとりだけになってしまったら・・・ 誰もが一度は妄想する(?)ような世界で、更にその中で時間の繰り返し"くるりん"が発生します。初めはそんな妄想の世界に迷い込んだようで冒険心をくすぐられどきどきします。 2人称で語られる文章も珍しく不思議な感覚になりました。 内容では時間の大切さを教えてくれます。 一生懸命やるから私たちには貴重な流れる時間が与えられていると。自分の内にある声。忘れがちだけどきちんと耳を傾けてあげなくちゃ。 天河石。 天の河の石。 とても素敵な石ですね。
読了日:6月1日 著者:北村 薫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29232854


▼読書メーター
http://book.akahoshitakuya.com/

読みましたー。


都会の片隅に真夜中にだけ開く不思議なパン屋さんがあった。オーナーの暮林、パン職人の弘基、居候女子高生の希実は、可愛いお客様による焼きたてパン万引事件に端を発した、失綜騒動へと巻き込まれていく…。期待の新鋭が描く、ほろ苦さと甘酸っぱさに心が満ちる物語。
Amazonより


ブランジェリークレバヤシというパン屋は深夜営業のパン屋さん。
お店で働くのは、ゆるーい関西弁をしゃべるほんわか系イケメンの暮林陽介とはっきりした顔立ちのイケメンオブイケメン柳弘基。
そこに集まるのは深夜営業のせいかちょっと変わった人たち。
カッコウの母親を持つ女子高生の希実、一人帰ってこないお母さんを待つ無垢で優しくて頭もいい小学生のこだま、覗き魔で情報に強い脚本家の斑目、ホームレスのニューハーフのソフィアさん、夢は優しいお母さんだけど万引きが手癖なこだまのお母さんの織絵ちゃんetc・・・。

それぞれのエピソードで心があったまります。
それぞれで自分に足りないもの、忘れているもの、大切なものを思い出させてくれます。
パンみたいにほっこりホカホカ。ほんのり甘い。種類はたくさん。色んな味が楽しめる。
こだまと織絵ちゃん親子のお話と暮林と弘基の関係のお話が私のお気に入り。


デビュー作?(デビュー間もない?)らしく、所々文章に気になる点があったりしますが、せっかく良いお話ばかりなので深く気に留めないで読み進めるのが吉です。

こんな行きつけのパン屋ができたらいいな。

流星ワゴン

2013年6月16日 読書
久しぶりに再読じゃない本。


死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして――自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか――? 「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。
Amazonより


期せずして時間に関係する本が続きました。

もしも過去に戻ってやり直せるなら。
そんなことは誰しも思ったことがあると思います。
人には無限の可能性があるってよく言われるけど、実際に目の前にあるのは限られたいくつかの選択肢で、その中から最良と思われるものを選択していく。あとから思い返してみれば別の選択肢があったと思うことがあるけど、やっぱりその瞬間にある選択肢が全てで、見えていない選択肢はないのと一緒かもしれません。見える数を増やす努力はできるかもしれないけど。
私もやり直せるならやり直したい過去が思いつくだけでもかなりあります。
でもやっぱりそれは叶わない願いなのでこれから先をがんばるしかないんでしょう。

またこの本は過去のやり直したいことばかりが書かれているわけではありません。
もう一つ、親子や家族というものが一つのテーマとなっています。
親の気持ち子知らず、その逆もまた。
よくあるテーマかもしれませんが、永遠のテーマでもあるのでしょう。
結局人の気持ちなんて分からないなんて言えば身も蓋もありませんが、親子や家族が幸せっていうのが、その人が今幸せって感じてるかどうかに一番近い部分だと思うし、お互いがお互いを想ってるんですけどね。距離が近いからこその難しさもあるだろうし、嫌な部分って強調されて見えちゃうんですよね。良いところには気づきにくいから余計に。親子喧嘩や兄弟喧嘩はやっぱり起こるし。今日私もちょっと親と小競合いをしてしまいましたし・・・。反省。でも、もうどうにもならないと思ってたけど、この本でも主人公が最後に前向きな気持ちを持ったら、何か変わりそうな兆しが見えました。現実にもそんなことが多いのだと思います。気の持ちよう。
まだ私は人の親ではないですが、将来親になった後またこの本を読んだら、また違う感想を持つかもしれません。

苦しくなったらまたこの本を読みたいな。

鬱病などが社会現象のようにあふれ返っている昨今。主人公と似たような気持ちを持っている方も多いと思います。主人公に自分を投影して、自分が過去をやり直しているような気持ちで読むと、自分も変われる・変えられるような気がしてきます。今苦しい人へ、是非。

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